昔から人と一緒に暮らしていた!イエネコの歴史とは
2017年07月08日
ペットとしてイヌと共に絶大な人気を誇るネコ。可愛らしい見た目や仕草で人々を楽しませ、和ませています。元来は警戒心が強い動物であるネコが、人間社会に溶け込むようになったのはいつ頃のことなのでしょうか。
☆穀物を狙うネズミを狙うことが、人間と一緒に暮らし始めた理由
現在、家庭で飼育されているイエネコは野生のヤマネコが家畜化したものと考えられています。ネコはイヌに比べ家畜化が遅かったと言われていますが、それは家畜化の目的の違いによります。イヌは狩猟をする際のパートナーとして、また家を守るための番犬として人々に必要とされ飼われるようになりました。古代エジプトや古代ギリシアの史料にもイヌの姿が描かれており、早くからイヌと人間が共存してきたことがうかがえます。それに対しネコが人間の歴史の中に登場するようになるのは農耕が盛んに行われるようになってからです。収穫した穀物を長期保管する際、それを狙うネズミを駆除するために飼われたのが家畜化の第一歩だったのです。ネコは肉食であるため穀物に手を出すこともなく、優秀なハンターとして重宝されるようになりました。
☆猫は日本には6世紀ごろやってきた
そんなネコが日本にやってきたのは6世紀、奈良時代のことと言われています。中国からの輸入船に乗ってやってきたと考えられ、日本においても穀物の保管場所を守る番人として家畜化されました。日本語の「ネコ」の語源にはいろいろな説があり、定説はありません。ネズミが恐れることから「ネ(ネズミ)こま(恐れるという意味)→ネコ」となったという説や、一日中寝ていることから「寝る子→ネコ」になったという説、「ネズミを好む→鼠(ネ)を好(コ)む」という説など、さまざまな理由づけがされています。平安時代の中期頃には文献に「ネコ」という表記が登場するようになり、鎌倉、室町と時代が移り変わる中で穀物の番人としてだけでなく、愛玩動物としても扱われるようになっていったのです。
☆穀物を守る必要が無くなっても人間と一緒にいるようになった
ネコはそもそも数が少なかったため、貴重な動物として丁寧に扱われイヌのように首輪をして飼うことも珍しくありませんでした。ネズミを駆除するネコ本来の役割は果たせませんが、その代わりにネズミ避けのお守りにネコの絵が描かれるようになったのです。特に養蚕農家にとっては、ネズミは蚕を食い荒らしてしまう天敵だったため、ネコは守り神として崇められていました。商売繁盛を願って置かれる「招き猫」も、元々は江戸時代に誕生した養蚕農家のための縁起物とされています。他にも日光東照宮の「眠り猫」や新潟県の伝統工芸「猫ちぐら」など、全国各地でネコの存在は受け入れられ、愛されてきました。
現在では900万頭以上のネコがペットとして飼われ、私たちの生活の中に溶け込んでいます。これから猫を飼うなら、このような知識もあれば違った角度から猫を見られるのではないでしょうか。