犬の飛びつき癖を解消するコツとは
2016年11月13日
飼い主にとって、愛犬が尻尾を振りながら飛びついてくるのはうれしいものです。特に、仕事に疲れて家に戻ってきた時には、何よりの癒しになります。ところが、その飛びつき癖が自分や家族ではなく、赤の他人に向けられたらどうでしょうか?相手の服を汚してしまうかもしれませんし、大型犬の場合は大けがにも発展しかねません。そこで、そのようなトラブルを未然に防ぐために、飛びつき癖の解消の仕方をご説明します。
☆犬が飛びつきたくなる理由
犬が人に飛びつこうとする理由はさまざまです。例えば、尻尾を振りながら飛びついてきて顔を舐めようとするのは、服従の意思を表しています。群れの中の下位の者が上位者にする挨拶のようなものです。また、見知らぬ相手の場合、序列を確認するために飛びついて強さ比べをしようとする場合もあります。さらに、狩猟本能が強く残っている犬は、動いているものを見るととっさに飛びかかろうとします。いずれにしても、それらの行動は本能に根ざしたものです。したがって、子犬の時からそのような行動はあったはずですが、大抵の場合、子犬が飛びかかってきても飼い主は可愛いと思うだけで、それをやめさせようとはしません。むしろ、子犬の頭をなでて可愛がるので、行動が強化されて成犬になった時に困ったことになるケースが出てくるのです。
☆犬のしつけで気をつけるべきご褒美と罰
犬のしつけの基本は強化と弱化です。この場合、興奮して飛びついた瞬間に罰を与えてその行動の弱化を行い、飛びつかなかった時は褒美を与えて行動の強化を行います。このように、癖を治すには強化と弱化を同時に行うと効果的です。褒美に関してはおやつ、頭をなでる、おもちゃなどを使い分ければよいでしょう。おやつは犬の好物であるほど効果的です。また、食べ過ぎて満腹にならないように少量ずつ与えるのが大切なポイントです。頭をなでる時は、犬に声をかけながら軽く1回だけなでます。なで回すと犬が興奮して集中力をなくすからです。おもちゃは、途中で与えるとしつけどころではなくなるので、訓練が終わった後、最後のご褒美として与えてください。一方、罰にはタイムアウトを用います。タイムアウトとは、犬の行動に対して無視を決め込むことです。犬は飼い主にかまってもらいたくて飛びついてくるわけですから、飛びつきを無視されるとその行動は目的に対して有効な手段ではないと学習します。ちなみに、体罰は厳禁です。体罰を与えても犬に間違った認識を植え付けるだけです。例えば、罰として手で犬の頭を叩くと犬は人間の手に恐怖心を覚えて、なでようとした手に噛みつくようになってしまう可能性があります。犬に対する罰は苦痛を与えるのではなく、相手が期待している快感を与えないという形で行うのが基本です。
☆しつけで実践
飛びつき癖を解消するには、まず前段階としてマテ、オスワリなどの訓練をします。これによって、じっとしているとご褒美がもらえるのだという基本認識が犬の中で形成されていきます。また、犬が欲求不満の解消のために飛びついてくる場合は、日頃からふれあいを密にしたり、運動を十分にさせたりしてガス抜きをしてあげるのが大切です。それらを行った後に、いよいよ本格的なしつけに入ります。まず、犬が飛びつく状況を再現して、そこでオスワリを命じます。そして、命令通りじっとしていられればご褒美を与え、命令を無視して飛びついてくればタイムアウトを実行しましょう。この時、犬がいくら吠えようと周囲を走り回ろうと一切反応してはいけません。そして、落ち着きを取り戻して動きを止めれば、その時点で褒美を与えます。こうして、じっとしていればいいことがあるというのを覚えさせていくのです。そして、飛び癖が直ってきたら褒美の回数を減らしていきましょう。いつまでも、おやつをあげ続けていると肥満の原因になりますし、犬も飽きてきます。おやつをあげる回数を2回に1回、3回に1回と減らしていき、最終的にほめるだけにします。なお、犬の集中力は10分~15分程度なので長い訓練は禁物です。犬が訓練に対して苦痛を覚えるようになれば、しつけは進まなくなります。焦らず、根気よく行っていきましょう。